自分で決めた「1日○個」を組み直していい|就労移行支援で考えるペースの見直し

「毎日30分は勉強する」「1日に3つは課題を進める」。前に進むために、自分でルールを決めることがあります。ルールは続ける助けになりますが、調子や状況が変わると、そのルールが自分を縛ることもあります。この記事では、ある開発者が自分で決めたルールを1日もたたずに見直した話を手がかりに、方向は保ったまま、ペースを組み直す考え方を紹介します。

「毎日1つ、改善を出す」と宣言した

Theo Browne(セオ・ブラウン)氏は、AIを使ってプログラムを書くためのツール「T3 Code」などを作る会社のCEOです。

2026年10月25日の昼、Theo氏はX(旧Twitter)にこう投稿しました。

「気づいたら、この1か月、毎日少なくとも1つはしっかりした改善を出せていた。これを正式なルールにしよう。続けられる限り、T3 Codeに毎日1つ、意味のある改善を出していく。」

1か月続いてきた流れを、公開の約束として形にしたわけです。

16時間後、「これはバカなアイデアだった」

ところが、翌26日の早朝、Theo氏はこう投稿しました。

「これはバカなアイデアだった。今すぐ出したいものが5つくらいあるのに、ペースを落として1日1つにしなければいけない気がしている。今日はいくつか多めに出して、そのぶん今週は(もしかしたら)少なめになっても、許してもらえるかな?」

宣言からおよそ16時間半後のことです。ちょうど同じころ、Theo氏は「利用者の伸びが速すぎて、使っているサーバー側の割り当てで問題が出ている」とも投稿していました。サービスが勢いよく動いている時期に、「1日1つ」という枠のほうが、実際の進み方に合わなくなっていたのです。

この投稿への返信には、「1日1つにするなら許さない」という冗談まじりの声もありました。使っている人たちも、枠より中身を待っていたようです。

手放したのは「形」で、方向は変えていない

ここで注目したいのは、Theo氏が手放したものと、手放していないものです。

手放したのは、「1日1つ」という形です。手放していないのは、「T3 Codeを少しずつ良くし続ける」という方向です。出すものを減らしたわけでも、改善をやめたわけでもありません。今の実際のペースに合わせて、出し方を組み直しただけです。

もう一つ、Theo氏は自分の判断を「バカなアイデアだった」とあっさり認めています。宣言したからには守らなければ、と無理を続けるのではなく、合わないと気づいた時点で見直し、そのことを周りに正直に伝えています。

ルールは、方向へ進むための道具です。道具が今の状況に合わなくなったら、取り替えてかまいません。

「1日○個」が今の調子に合わないとき

就労移行支援に通う方の中にも、自分なりのルールを決めて頑張っている方がいます。

  • 毎日、課題を3つは終わらせる
  • 休まずに週5日通う
  • 1日1時間は資格の勉強をする

こうしたルールは、続ける力になります。ただ、精神障害や発達障害のある方の場合、体調や集中力には波があります。調子の良い時期に決めたルールが、調子の落ちた時期には重荷になることもあります。逆に、調子が上がってきたのに「1日1つまで」と決めた枠のせいで、せっかくの勢いを止めてしまうこともあります。

組み直すときの考え方

  • 方向を確かめる:そのルールは何のためのものか。たとえば「働けるように、少しずつ力をつける」
  • 今の調子を見る:最近の体調、睡眠、集中できる時間を振り返る
  • 枠を今に合わせる:「毎日3つ」を「1週間で10個くらい」にする、調子の良い日に多めに進めて、疲れた日は少なめにする

例:課題の進め方を組み直す

午前中にノートパソコンで集中して作業し、ノートは午後の振り返り用に脇へ置いている男性
  • 「毎日課題を3つ」と決めていたが、午後になると集中が切れてしまう
  • 方向は「パソコンのスキルを身につける」なので、数にこだわる必要はない
  • 午前中に2つ集中して進め、午後は復習にあてる形に変える

ルールを変えることは、怠けることでも、負けることでもありません。方向に向かって進み続けるための、調整です。

一人で抱えず、一緒に見直す

支援員と利用者が計画表の付箋を一緒に動かしながら、ペースを見直している様子

自分で決めたルールほど、変えるのが難しいものです。「決めたことを守れない自分はだめだ」と、自分を責めてしまうこともあります。

就労移行支援では、通所や作業の記録をもとに、支援員と一緒にペースを振り返ることができます。「このルールは今の調子に合っているか」「何のためのルールだったか」を一緒に確かめ、必要なら組み直していきます。

IFキャリアステーション荒川について

IFキャリアステーション荒川は、IT分野に特化した就労移行支援事業所です。主に精神障害や発達障害のある方を対象に、パソコンやITのスキルを身につけながら、働くための準備を進めています。

  • 場所:西日暮里駅から徒歩5分
  • プログラム:10時〜15時

「自分で決めたペースが続かなくて、つらくなっている」という方も、まずは見学や相談で、今の自分に合った進め方を一緒に考えてみませんか。

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