流されているのか、考えを変えるべきなのか|変化への反発を細かく区切って考える

自分なりに考えて変えたことに、周りから「前のほうがよかった」と言われることがあります。そんなとき、相手の言うとおりに戻すべきなのか、それとも自分の考えを貫くべきなのか、迷ってしまうものです。周りの声に流されているだけなのか、本当に考えを変えるべきなのか。その見極めは、思っている以上に難しいことです。この記事では、ある個人開発者が、自信を持って出した変更への反発にどう向き合ったかを手がかりに考えます。

「100倍良くなった」と思った変更に、反発の声

Jack Friks(ジャック・フリックス)氏は、一人でアプリを作って公開している個人開発者です。パートナー同士で使うアプリを作っていて、毎月1,000人を超える人が使っています。

Friks氏は2026年11月4日、X(旧Twitter)にこう投稿しました。

「先週、カップル向けのアプリに更新を出した。すごく気に入っていて、100倍良くなったと思っている。でも今のところ、実際に使っている人のレビューの中には、そうは思わない声もある。」

投稿には、利用者のレビューの画像が添えられていました。「遠距離恋愛で一番好きなアプリだったのに、更新ですっかり変わってしまった」「前の版に戻してほしい」。Friks氏が良くなったと感じた変更は、慣れ親しんでいた人たちには、むしろ悪くなったと受け取られていたのです。

「変えずに前へは進めない」

Friks氏は、この反発をすぐに否定することも、すぐに受け入れることもしませんでした。続けて、こう書いています。

「慣れているものを変えると、ほとんどいつも、ひどく悪くなったように感じられる。最初はどうしても、否定的な反応がある程度は出る。でも、何も変えずに前へ進むことは、ほぼ不可能だ。」

慣れたものが変わると、それだけで違和感を覚えるのは自然なことです。Friks氏はそれを認めたうえで、変えたこと自体は間違いではないという考えも手放していません。

ただ、ここで「反発は慣れの問題だから」と片づけて、声を聞き流したわけではありません。Friks氏は、そこから一つずつ分けて考えていきます。

戻すところ、聞く声、自分で決めるところ

Friks氏の投稿や返信を追っていくと、反発の声を、いくつかに分けて扱っていることが分かります。

前の版に戻すのではなく、なくなったものを新しい版に戻す

返信の中で、「前の版と新しい版を切り替えられるようにすればいい」という提案を受けました。Friks氏自身も、前の版を使えるようにする案を一度は考えていました。

けれども、最終的にはこう答えています。

「できなくはないけれど、2つの状態を保ち続けるのは大変だ。その代わり、なくなったものを新しい版に戻していく。」

前の版のある機能がなくなったことを惜しむ人には、「次の更新で戻します」と返しています。変更そのものは取り消さず、新しい形を土台にしたまま、利用者が大切にしていた部分を戻していく。全部を元に戻すのでも、全部を押し通すのでもないやり方です。

誰の声を、より聞くのかを決める

Friks氏は、もう一つ線を引いています。

「ほとんどの人はお金を払っていない。だから、払ってくれている人の声を、より聞くようにする。」

すべての声を同じ重さで受け止めようとすると、何を優先すればいいのか分からなくなります。Friks氏は、このアプリを支えてくれている人の声を、より重く聞くと決めました。

それでも、最後は自分で決める

一方で、「利用者が求めるものを出せばいい」という意見も届きました。Friks氏の答えは、こうでした。

「利用者は、いつもそれぞれ違うことを求める。勝つには、ある程度のセンスが必要だ。」

声を聞くことと、声のとおりにすることは違います。求めることが人によってばらばらなら、どれか一つに合わせても、全体としては良くなりません。だからこそ、聞いた声をもとに、何を残し、何を変えるかを自分で判断する必要がある、という考え方です。

迷ったときは、まとめて決めずに区切って考える

Friks氏のやり方で大事なのは、「反発があった」という一つの出来事を、そのまま一つの答えで片づけていないことです。

  • 変えたこと自体は、取り消さない
  • なくなって困っている部分は、新しい形の中に戻す
  • どの声をより重視するかを決める
  • それでも、最後に何を選ぶかは自分で判断する

「全部戻すか、全部押し通すか」と大きく考えると、どちらを選んでも、流されているのか、意地を張っているのかが分からなくなります。けれども、細かく区切って一つずつ考えると、本当に手放したくないものと、変えてもいいものが見えてきます。

働く準備でも、周りの声と自分の考えのあいだで迷う

この話は、アプリを作る人だけのものではありません。働く準備を進めるときにも、同じような迷いが生まれます。

  • 自分なりに考えて変えた生活リズムや訓練の進め方に、家族や周りから心配の声が出る
  • 「前のやり方のほうが合っていたのでは」と言われ、自分の判断に自信がなくなる
  • 周りの意見がそれぞれ違っていて、誰の言うことを聞けばいいのか分からなくなる

こうしたとき、周りに合わせて全部を元に戻すと、自分が大事にしたかった方向まで見失ってしまうことがあります。反対に、すべての声を聞き流してしまうと、本当に見直したほうがいいところに気づけません。

だからこそ、まとめて決めずに、細かく区切って考えることが助けになります。何を続けたいのか。何を戻したほうがいいのか。誰の声をより大事に聞くのか。そして、最後に自分で決めることは何か。一つずつ分けていくと、流されているのか、考えを変えるべきなのかが、少しずつ見えてきます。

就労移行支援で、一つずつ区切って考える

支援員と利用者が並んで座り、カードを2つのトレーに分けて整理している様子

就労移行支援は、障害や病気のある方が、働くための準備を進める場所です。ここでは、周りの声と自分の考えのあいだで迷ったとき、支援者と一緒に一つずつ整理していきます。

届いた声と、自分の考えを書き出す

  • 言われたこと、気になっていることを、まず書き出してみる
  • 自分がそのやり方を選んだ理由も、あわせて言語化しておく

戻すところと、続けるところを分ける

  • 変えたことの中で、実際に困りごとが出ている部分はどこかを確かめる
  • 全部を元に戻すのではなく、困っている部分だけを調整できないかを考える
  • 続けたい部分は、なぜ大事なのかを支援者と一緒に確かめる

最後は、自分で決める

  • 周りの声を参考にしながら、自分が大事にしたい方向に合うかで判断する
  • 決めたことは記録して、しばらく試してから一緒に振り返る

一人で考えていると、周りの声が大きく感じられて、自分の考えが分からなくなることがあります。支援者と一緒に整理すると、声の中身と自分の考えを落ち着いて分けて見られます。

大事な方向を残しながら、今のペースで調整する

利用者がノートに自分で決めたことを書き、そばで支援員がうなずきながら聞いている様子

Friks氏は、自信を持って出した変更に反発を受けても、全部を元に戻すことはしませんでした。かといって、声を聞き流すこともしませんでした。なくなったものを新しい形に戻し、どの声をより重視するかを決め、それでも最後は自分のセンスで判断する。そうやって、変えた方向を保ちながら調整を続けています。

方向性が揺らぐときは、自分が流されているのか、考えを変えるべきなのかを見極めるのが難しいものです。そんなときこそ、まとめて答えを出そうとせず、一つひとつ区切って深く考えてみてください。その中で見えてきた大事なものを残しながら、今のペースで調整していけばいいのです。

IFキャリアステーション荒川について

IFキャリアステーション荒川は、IT分野に特化した就労移行支援事業所です。主に精神障害や発達障害のある方を対象に、パソコンやITのスキルを身につけながら、働くための準備を進めています。

  • 場所:西日暮里駅から徒歩5分
  • プログラム:10時〜15時

「周りの意見に振り回されてしまう」「自分の考えが正しいのか分からなくなる」という方も、そのままで大丈夫です。まずは見学や相談で、今の迷いを一緒に整理するところから始めましょう。

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